BRST!
「電話…?」
あれは確か、男の人からだった筈だ。
答えを求めるように響兄に視線を向ければ、そんな私の思いに気付いたらしい彼が口を開く。
「うん、男だったけどね。変声器か何かで声を変えてたんじゃないかな?」
「…、何でそう思うんですか……?」
「随分と、ジョゼは"お人好し"みたいだからね。」
「……は?」
最後の呆気にとられた声は私じゃなくて、"ジョゼ"さんのモノだ。
ウインク混じりに述べた響兄の言葉が心底理解出来ない、とでも言いたげの声音で。
――と、そのとき。
「アンタら、敵の巣でよくそんな会話出来るなぁ。感心感心。Jも混ざってんじゃねーよ。」
「す、みません…!」
「御託は以上か?どーでもいいけどさー、俺あんたらの"能力"欲しいんだよね。」
ゆらゆらと掴み所のない歩みで店の中央に立った男は、ニヤリと狂気染みた笑みを顔面に貼り付けて言葉を落としていった。
「―――テメェ等の能力、俺に差し出せや。」