BRST!
「は……、」
なに、これ。
私いまどうなってる――…?
ぐらりと傾いた視界が段々と滲んでいき、切り裂かれた肩口は燃えるように熱い。
狭まっていく視界に床を映し出せば、赤く染まるそこを見て呆然と思うことは。
――私、の血か…。
何処か現実味のない気持ちに上塗りするように。
自らの身体から放出された真っ赤なそれを見つめ、どくどくと脈打つ患部が私の意識を攫っていく。
緑色の光が渦巻き、今し方負ってしまった傷を癒そうとしてくれているのが分かるけれど。
「…、……」
でも、駄目かもしれない。
傷は私が思うよりも深いものらしく、遂に目を閉ざした私は――…その場に、崩れ落ちるように倒れ込んだ。
「――う、稜…!」
嗚呼、最後に昴くんの声が聞けるなんて。
しかも、鼻先を彼のフレグランスの香りが掠めてくれるなんて。
真っ暗な世界に墜ちゆく前に、幸せな感覚に浸れて良かった。