BRST!
――暴走だ。
今までのなんか比じゃない。
俺がこの目で見てきたどんな"暴走"をも上回る現象が、目の前で起きようとしていた。
「ヒュウー!オリジナルは凄えなあ!その能力、貰って俺が有効活用してやるよ。」
「……許さねえ…。」
「あ?聞こえねぇなあ。」
ハッキリと瞳を紅く染めた昴を、尚も挑発する敵の男に思わず呆れた。
――…馬鹿が。
「……死ぬぞ。」
「は?」
隣で意表を突かれたような表情を晒しているジョゼに言葉を向けることもせず、どうしたものかと成り行きを静観する。
「……黙れクズが。」
昴が一層低くそう言葉にしたのと同時に。
「な、いまどうやって…!」
「…、……」
目にも留まらぬ速さ――…まさに目で追うことも出来ないくらいの速さで相手の両腕を縛り上げてしまった。
それを背中にまわすと、靴底を相手の男に押し付けて重さのある言葉を落としていく。