BRST!



「テメェ、稜に手出しやがったな。」

「…、グッ…!」



昴が男の腕を引っ張ると、骨が軋む音が鈍く響く。

本来と違う方向に曲がっていることから、間違いなく骨折しているだろう。





「よりによって――…絶対に許さねえ。」

「、カハッ。」

「ああ゛?何か喋ったらどうなんだよクズが。」

「う、るせーんだよ!」

「黙れ。」


――バキ、ボコ、グキッ!

その聞くに堪えない音に思わず顔を顰《しか》め、次第にエスカレートしていく弟の暴行に頭を悩ませた。




お前、それじゃどっちが悪役か分かんないぞ。


――だが、既に顔面から何からグチャグチャな敵の脳天目掛けて拳を構えた昴を見た瞬間。


「おい、昴やめ――」


焦って制止の言葉を投げ掛けていた俺だったけれど。







「これで終わりだ。」


始めから"殺傷"目的で攻撃していたらしい昴が、その言葉に耳を貸す筈もなかった。


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