BRST!
《稜 side》
「これで終わりだ。」
…、……
なんか、昴くんの声が聞こえる。
感情を殺したような、それでいて酷く切なさを堪えたような。
滲む視界を精一杯開いていき、色を取り込もうとした私はその光景を見て愕然とした。
「……るくん…。」
暴走、しているんですか。
だって貴方の周り、真っ赤で――…
ねえ、昴くん。
ちょっと待って、なんでそんな――嘗《かつ》てと同じ瞳を携えているの。
"人ひとり、殺しそうな眼だ"
"待って、昴くん駄目…!それ以上やったら死んじゃう"
"昴くんを人殺しになんて、したくないんです"
「――昴くん、駄目!!」
「、りょ――」
理性的な思考なんて、何処かに置き忘れてしまったらしい。
昴くんを止めなきゃ。彼を人殺しにしちゃ、いけない。
そんな思いに駆られていた私は、後先見ずに彼の胸倉を掴んで引き寄せて、そして。
「稜ちゃんってば、情熱的~!」
何処か嬉しそうな響兄の声を遠くに感じながら、気付けば昴くんの唇に自身のそれを押し付けていた。