BRST!
「、響兄…!!」
どうしよう、間に合う?いや、間に合わない…!
咄嗟に銃を構えた響兄だが、信じられないスピードで向かってくる敵に中々狙いを定められなくて。
思わずハッとして視線を向けることしか出来ない。
それくらい人間のチカラを凌駕した敵は敏速で、その行動を目で追うことくらいしか。
醜い"肉の塊"と化した男は、薄気味悪い笑みをその顔に貼付けながら響兄に突っ込む。
接触まであと僅かと迫った、そのときだった。
「響…!――カハッ、」
「ジョ、ゼ…?」
驚きに目を見開いたのは、私と昴くんだけでなく響兄もまた同じだった。
「ジョゼ、なんで…!」
「響……無事で良かっ、」
「とにかく喋るな!……ッ、なんでこんな…!」
悔しげに顔を歪めた響兄の腕には、血塗れのジョゼさんが居て。
――それと、同時に。
「ウ、ぁあああぁああああ…!!!」
ヒトらしからぬ雄叫びを上げた嘗ての男は、頭皮を掻きむしりその場にうずくまり、終に倒れ込んだ。