たぶんこれを、初恋と呼ぶ




「梅ちゃん、これ…貰ってくれると嬉しい」


やっとの思いで、実は1カ月前から用意していたクリスマスプレゼントを渡した。

渡した瞬間梅ちゃんは驚いた表情を見せた。そしてすぐにその顔を綻ばせ、「ありがとう」と笑ってくれた。



「わ、可愛い!似合う?」


俺があげたネックレスを首に付けて、振り向いてにこっと笑う。
可愛すぎて悶絶した。


今すぐにでも押し倒したい欲を理性で抑えていると、不意打ちで梅ちゃんからも「安尾くん、これあげる」と、クリスマスプレゼントをもらった。



「何がいいかなって迷ったんだけど、とりあえず安尾くんに似合いそうなキーケース。よかったら使ってね」


落ち着いたインディゴブルーの色のキーケース。

腕時計もそうだが、梅ちゃんはこんなにちゃんとした物が俺に似合うと思ってくれているのだ。



「梅ちゃん、色々ありがとう」

「ん?」

「俺、今回のクリスマスも結局何もしてないわ…」


思い返すと、先日は前もって計画したにも関わらず失敗したし、今日のクリスマスは梅ちゃんがほとんどやってくれた。



もっとちゃんと、梅ちゃんに似合う人間にならないと、だめだ。


そんな俺に、梅ちゃんは言った。



「高校生の時、私は安尾くんと一緒にいるだけで楽しかったんだよ。
あれから7年経ってお互い大人になって、安尾くんは私に気を使ってしまう事が増えたかもしれないけど、私は今でも何してようと安尾くんがいるだけで、楽しくて嬉しくて、充分なんだよ」

「……梅ちゃん、キスしていい?」

「どうぞどうぞ、お好きに」


優しく微笑む梅ちゃんに触れた。

俺が触れると梅ちゃんもそっと触れてくれて、力いっぱい抱きしめると、優しく抱きしめ返してくれる。


優しくてあたたかくて、彼女の隣にいるのはあまりにも心地良くて、ずっと傍にいたい。




< 103 / 116 >

この作品をシェア

pagetop