たぶんこれを、初恋と呼ぶ
事の発端は、2週間後に控えた梅ちゃんの誕生日プレゼントだった。
「安尾、顔やばいぞ」
「何悩んでるんですか?」
休憩時間に携帯を凝視する俺に、アツシさんと八嶋が声を掛けてきた。
開いていた、「20代女性への誕生日プレゼント」というページを見せた。
それを見てアツシさんは「浮かれてんな~」とにやつき、八嶋は、「うわ」と怪訝そうな顔をした。
「は?誕生日プレゼント?いいじゃないですか別に何でも。そもそも何で俺が元カノの彼氏の相談乗んなきゃいけないんすか」
「も、申し訳ねえ」
「まあ、いいですけど。で、大体候補はあるんでしょ?何で悩んでるんです?」
「いや、何をあげたらいいのか…」
「え、そこからですか。じゃあ無難にアクセサリーとかでいいじゃないっすか。あと財布とか」
「でもクリスマスにあげたし。財布とか俺センスないし、好みが大事だろ」
「じゃあもう、無難に下着とか買ったらどうですか?」
「は?」
下着って、あの下着?
今のは、幻聴か何かか?
耳を疑ったが、アツシさんの反応も俺とほぼ似たようなものだったので、聞き間違いではなかった。