たぶんこれを、初恋と呼ぶ
腕時計
翌朝、落ち着いていられなかった為か自然と5時前に目が覚めた。
特にやる事もなく、携帯を弄ったり適当に付けたテレビを眺めたりして時間を潰し、8時を過ぎて会社に向かった。
休日なので、事前に部長に許可を取り借りた鍵で会社に入る。
締めの時間に来ればよかったのだが、家にいてもする事がなく落ち着かないので、今進めている別の仕事に取り掛かる事にした。
しかし仕事に取り掛かろうとしても、無意識の内に何度もメール画面を開いてしまい、中々集中できず。
結局、いつも後回しにしてばかりの書類の整理等を済ませる事にした。
9時半になる少し前に、彼女から会社に出来上がったとの連絡が来た。
先にデータを送ってくれて、直接説明した方が何かあっても対応できるという事ですぐにうちの会社まで来てくれた。
「お待たせしました。データの方は見ていただけましたか?」
「はい。上司からはこれでOK貰ったところです」
「よかったです…今から会長様のところへ伺うんですよね。同行してもよろしいですか?」
「えっ、そんな。気を使って下さらなくても大丈夫ですよ」
「いえ、こちらのミスです。会長様のご意見にも即座に対応したいですし、誠意をもってお答えしたいので、ご迷惑でなければ是非お願いします」