たぶんこれを、初恋と呼ぶ
そんな調子でいると、頼んだ料理が運ばれて来た。
メニューが豊富で何を頼めばいいかわからなかったので、彼女のお勧めだというランチにした。
いつも食事に行くのは食堂や大衆居酒屋などがほとんどなので、どんな料理が出てくるのかと不安になったが、彼女が勧めたのは丼物だった。
しかしそれすらも容器から盛りつけまで洒落ている。
味はどうなんだろうか…と恐る恐る口にする。
「あ、美味い」
想像以上、というより、思わず口に漏らしてしまう程美味かった。
漏らした言葉に、彼女は嬉しそうに笑った。
「よかった!このお店、ワインもいい物が揃っていて、夜もお勧めなんです。よかったら是非、お友達や会社の方にもお勧めしてくださいね」
「あ、はい。もちろんです」
「ちなみにあの二人、中学の頃から10年付き合ってるんです」
「10年!?」
「はい。2年前に結婚して、もう既に一児の母ですよ。ヒロキ君のご実家も洋食屋さんで、高校の時から調理系の学校行って頑張って来たみたいで。朝子もお店手伝う為に色々勉強してきて」
「すごいな…」
「朝子とは高校からの友達なんですけど、色々話を聞いてくれたり、サポートの仕方が上手な子なんです。仕事頑張ると、ここのご飯食べにきたくなるんですよね」
本当に仲のいい友達なのだろう。ここに来てから彼女はずっと笑顔が絶えない。