たぶんこれを、初恋と呼ぶ
帰宅し、シャワーを浴びてテレビを観ながらスーパーで買ってきた惣菜を食べながらビールを飲んでいると、聖から連絡がきた。
八嶋の存在を思い出したとの事だった。
空気が読めるのか、読めないのか。こいつは、何てタイミングで思い出してくれるんだ。
「思い出した。あいつ、元カレだ。梅が高校くらいから付き合ってたやつ」
「……へえ」
ゴクリと口に含んでいたビールを一気に飲み込んだ。
出た返事は自分が思っていたよりも小さかったが、電話越しの聖は特に気にした様子もなく続けた。
「昔あいつのインスタに載ってたわ。彼氏とか滅多に載せないタイプだから、そういえば珍しくてガン見したわ」
そういえば飲み会の時、俺や周りは勝手に「高校の時の同級生」と勘違いして彼女が嘘をついていると思っていたけれど、記憶を思い出してみれば彼女は「知り合い」と言っただけで、「同級生」とは一言も言っていなかった。
そうか、高校の時の。高校の時から付き合っていたのか。
「……お前、妹のインスタフォローしてんのか」
「いや、あいつの派手な友達にフォローされて知っちゃった。フォローしてないけど非公開じゃないからたまに見てた。そうだ、たまに一緒に撮ったプリとかあったし、ディズニーも行ってたわ」
「……へえ、ディズニーとか行ったりするんだ」
平静を装って返事をしたつもりだったが、なんせ何と返していいのかわからない中で無理矢理出した言葉だったので、低い声が出てしまった。
電話越しの聖が、少しの間を置いて言った。