たぶんこれを、初恋と呼ぶ


それから恭平から、なんて事の無いメッセージが届くようになった。

お互いにマメな性格では無いので、すぐに返信しなきゃというプレッシャーはなく、気楽だった。


2人で会うようになって、恭平とはいつもご飯を食べに行った。

私が無理なダイエットをしていたから、心配してくれているのだとすぐにわかった。

安いファミレスだったり、たまにお洒落なカフェだったり。
勉強を教えてもらったり、お互いの学校の愚痴を言ったり。


恭平といる時間は気を使わなくて楽だったし、何よりその間は安尾くんの事を考えずに済んだ。







「梅、恭平くんと付き合ってんの?」


ある日リナが教室のど真ん中で聞いてきた。

突然だったので、一緒にいた朝子と私の空気が止まった気がした。



「え?ううん、付き合ってないよ」

「何で付き合わないの?もしかしてまだ、元彼の事引きずってんの?」

「……」


ついこの間、恭平から告白をされた。

けれど私はまだ前の彼氏を忘れられないと、そんな気持ちで恭平と付き合う事はできないと伝えた。


恭平は「じゃあ友達として、今まで通り遊ぼう」と言ってくれたので、私はそれに甘えていた。




「え、まじ?もう半年以上経つよね?フラれたんでしょ、もう望みないじゃん」

「分かってるけど…」

「年上に興味あったから付き合っただけじゃん。相手も女子高生ってブランドに惹かれて付き合っただけでしょ。重すぎ」


言葉のナイフという比喩があるけれど、リナの言葉はまさにそれだった。

めちゃくちゃに刺されて、めちゃくちゃ痛かった。

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