たぶんこれを、初恋と呼ぶ
気分が悪いと学校を早退した。
すると恭平から連絡があった。
朝子が一連の事を恭平に伝えたらしい。
まだ授業中だというのに、恭平は家の近くの公園まで来てくれた。
「大丈夫?」と優しい声で聞かれた時に、私はずっと我慢していたものが溢れた。
突然泣き出した私を、恭平は「梅、大丈夫だよ」と言いながらそっと抱きしめてくれた。
「前の人の事を好きでいてもいいから、ずっと優しくするから、泣かせたりしないから、付き合おう」
恭平に抱きしめられながら、私はクリスマスの前に安尾くんと兄の会話を聞いてしまいこの公園で1人で泣いた日の事を思い出した。
寒かったな、あの日。
恭平は暖かくて、また涙が出た。
早く大人になりたかった。
恋人に戻れなくても、元の仲に戻れなくても、もしいつか再会した時に、安尾くんの前では素敵な大人の女性になっていたい。
笑顔で安尾くんの前に立ちたい、そう思った。