たぶんこれを、初恋と呼ぶ



　恭平と付き合っていた3年半は穏やかなものだった。

キスもセックスも恭平からしてくれた。

安尾くんの時は私からでいつ済むのかといつもいじらしく悩んでいたというのに、恭平とは私が拒まない限りどんどん先に進んだ。


この先全部安尾くんとするんだろうなと夢見ていた事は全て、恭平とした。




けれど、私は結局安尾くんを忘れる事はできなかった。


いい加減諦めろ、見込みはない、諦めろ。

何度も自分に言い聞かせた。でも、どうしても出来なかった。




恭平は大切な人だ。

それはこの先もずっと変わらない。


けれど安尾くんは、私の中でずっと、多分一生、特別な人であり続ける。



私の甘えでそんな残酷な事を恭平に押し付けて、この先もずっと縛り続けるのは、もう無理だ。





そう考えていた頃、社会人になったばかりの私は仕事に追われ、会う時間が極端に減った。

最低だが、私は少しほっとしていた。


少しして、恭平から「会えないのが辛い、別れたい」と告げられた。



恭平は優しいから、そう言ってくれたのだろう。




でもきっと原因はそれだけじゃなくて、何となく私の気持ちに気付いていたんじゃないのかと思う。



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