たぶんこれを、初恋と呼ぶ


「俺が今から言う事は俺の気持ちの全てで、でも梅ちゃんが聞いたら呆れてしまう事だと思う。それでも、聞いてくれる?」

「私、いつだって安尾くんの話をつまらないと思った事は一度もないよ。呆れた事もない」



そういう子だって事は昔からわかってたはずなのに、自分に自信がないせいで、彼女に何もしてあげられなかった。

自分の気持ちを伝えられなかった。


一息吐いて、気持ちを落ち着かせる。

大丈夫だ。大丈夫。



「……付き合ってた時のクリスマスの前に、梅ちゃんが友達と歩いてるのを見掛けた。そこでその友達が、君の彼氏…つまり俺なんだけど、その想像をしてて」

「そういえばそんな事あったかも…え、うそ、もしかして聞いてたの、あの時」

「うん。梅ちゃんの彼氏だから、めっちゃイケメンで金持ちだろうって言われてて。俺全部当てはまってないし、むしろ真逆だし。その後に、年上は金持ってて当然、その為に付き合ってるようなもんだ、って…」


メンタルが弱すぎてある意味トラウマになっていた。

彼女が友達といるのを見たのはあれが初めてで、周りの子が皆派手な感じで、俺の苦手な部類だと恐ろしかった。



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