たぶんこれを、初恋と呼ぶ
「ち、違う!確かにそういう話はしてたけど、それはその子の持論で!私はそんな事、安尾くんに一度も思った事ない!」
「……うん、俺が勝手に勘違いしたんだ。ごめん」
「じゃあ、クリスマスに無理って言ったのは…」
「俺年上のくせに経験ないし、梅ちゃんの期待に応えるのは無理だと思って…自分がすごく情けなくなって、あの場にいられなくなって…」
梅ちゃんは可愛くて明るいしクラスの一群の女の子だっていうのは見ればわかる。
こんな俺なんかにも優しくて、もったいないくらいいい子で。
あの光景を見た時、やっぱり俺は梅ちゃんとは違う人間なんだと思ったのだ。
「私が無理だって事じゃなかったの…?」
「え?」
「私はてっきり、私が女として見られてないからそういう気になれなくて、もう付き合えないって拒絶されたんだと思ってた」
「え!?何でそうなってんの!?」
「…ずっと、ヤリ目だと思ってた」
「は!?」
「私もクリスマス前に、お兄ちゃんと安尾くんがうちのリビングで話してるの聞いちゃって。早く私で童貞捨てろって」
「……それは、確かにそう言われたけど、違う」
衝撃の事実に驚きを隠せなくて、俺は何とか声を発するので精いっぱいだった。
頭の中がはじけて真っ白になっていた。
だって、それ、最低すぎるだろ、俺。
ずっとそんな風に、彼女を不安にさせていたのか、俺は。