たぶんこれを、初恋と呼ぶ
「……もう一生、この先俺から離れてく事は絶対ないから。梅ちゃん、好きだよ」
「うん、私も安尾くんの事本当にすっごい好き」
「ははは」
薄暗くてよく見えないけど、何となく梅ちゃんの頬に触れたら、冷たい水滴が付いていた。
もう絶対泣かせたくないとめちゃくちゃ胸が締め付けられて、同じくらいめちゃくちゃ愛おしかった。
心臓が聞いた事の無いくらいバクバク響いている中、俺は梅ちゃんにそっとキスをした。
「…ぶふふっ」
彼女は驚いた顔をしていたがすぐに大人しく目を瞑って受け入れてくれたと思ったのに、少しして俺がめちゃくちゃ緊張しながらかました精一杯のキスにめちゃくちゃ笑いながら吹き出した。
「え!?今の笑うところ!?」
「だって安尾くんから自主的にしてくれたの初めてだもん。嬉しくて笑った」
「じ、自主的?てか今のは嬉しい笑いじゃなくね?そういう笑い方じゃなかったよね?」
「昔は私が言わないとしてくれなかったもん。嬉しすぎて、めちゃくちゃ面白かった。安尾くん、ガチガチだったね。息してなかったでしょ」
「うるせー!」
「でもね、私もすっごい緊張しててめちゃくちゃ力んでたの。でも安尾くんの方が強すぎて、気付かれなかった。あはは、もーだめ、本当愛しい」
俺もです。
俺も本当にめちゃくちゃ梅ちゃんが愛おしい。
今度こそ真面目な顔をしてじっと彼女を見つめる。
すると彼女は深呼吸をして笑いを沈め、照れくさそうに小さく笑った。
「安尾くん、大好き」
俺からしようと思ったのに、今度こそ格好良く決めようと思ったのに。
梅ちゃんはいつだって俺の上手だ。
背伸びをしてキスをしてくる梅ちゃんを、力一杯抱きしめた。