たぶんこれを、初恋と呼ぶ
「今だから言うけど、大人の安尾くんに似合うものって考えたらすごくプレッシャーに思えて、めちゃくちゃ悩んでバイト代ほとんどつぎ込んで選んだの。捨てていいとか強がりで言っちゃったけど、自分で持ってたらいつまでも捨てられないで未練たらしくなるから、安尾くんに渡して貰えば、安尾くんは優しいから捨てたりしないだろうなって思ってた。子どもすぎて笑える」
毛布を纏いながら、梅ちゃんが起き上がった。
「だから安尾くんが付けてくれてるの見た時、似合いすぎてて泣きそうになった。高校生の時の私のセンス、ナイスすぎた本当に」
「…この腕時計、前は勿体なくてここぞって時に付けるようにしてたんだけど、今は毎日つけてるよ。これのおかげで、毎日ちゃんとしようって身が引き締まる。そのおかげで、結構仕事はうまく言ってると思う」
「そっか…これで高校生の私も少しは報われたなあ」
梅ちゃんの目に涙がたまっているのを見て、胸が焼けそうに熱くなった。
梅ちゃんを、とても力強く抱きしめた。
このままずっと腕の中にいて欲しい。
それくらい、愛おしくててたまらない。
「…だめだ、これ以上は理性がもたない。送ってく」
「えっ、まだ?安尾くん、元気だね…」
「…」
「腰痛い。安尾くん、激しすぎてびっくりした」
「…申し訳ない」
思わず正座をする。彼女はそんな俺を「ほんと可愛いなあ」とからかった。