桜の下で一目惚れした人は
ガラッ。

「「失礼します」」

職員室に入り篠原先生の元に向かう。

「先生持ってきました」

そう言うと

コーヒーを飲みながらこちらを振り向く先生。

…いい匂い。

コーヒーが似合う。

かっこいいなあと見惚れてしまう。

そして私たちを見ると先生は不機嫌そうに

「なに仲良く持ってんの?」

小声で呟いた。

「え?なんですか?」

先生の呟きは私の耳には入らなかった。

「いや、なんでもないよ。ありがとうな」

そう言ってコーヒーを口から離してニコッと笑う。

…?一瞬顔が怖く見えたのは気のせい?

「じゃあ…失礼しました」

ガラガラと職員室の扉を閉める

「圭太くん、さっき先生がなんて呟いたかわかる?」

気になる。

私なんか怒らせちゃった?

荷物見てなんか言ったもんね…

ハッ!まさか歩いてる途中に膝が当たったちゃったけどそれで荷物が潰れてたとか!?

「いや、俺も聞こえなかったよ」

と言ってニコッと笑う圭太くん。

「じゃあ俺次移動教室だから先行くね」

パタパタと廊下を走って行ってしまった。

行っちゃった…

結局先生なんて呟いたんだろう。

1人で悶々と考えながら廊下を歩く。

私の周りをパタパタとみんな走り去る。

なんでみんなそんな走ってるの。

…って。

次私も移動教室だった!!

慌てて教室に向かう。

やばいやばい、間に合わない!!!

(キーンコーンカーン…)

間に合え…!!!

ガラッ!!

勢い良くドアを開ける。


…ギリギリセーーーフ?

ホッと息を吐くと

「白石、アウト。放課後居残りな」

そう言って満面の笑みで私を見る篠原先生。

えーーーー!!!

絶対お説教だ…

てか篠原先生の授業だったんだ…

こんな遅刻した姿見られて恥ずかしい。

「はい…」

返事をして急いで自分の席に座る。

もお高校生活初日でやらかしすぎてる。

穴があるのであれば今すぐ入りたい…

恥ずかしさと先生の満面の笑みの怖さで授業に集中なんてできないよーーーー。

そして
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