結婚前夜

side優奈

「はぁ……」

私はベッドの上で、１５回目の溜息をつく。


いよいよ明日、結婚式だ。

相手は、同じ会社の上司である、中島悠人《なかじまゆうと》。

どうしよう…、本当に私でいいのかな。

ベッドの上で体育座りをした状態で、膝の上に乗せていたクッションに顔を埋めながら、中島課長の事を考えていた。

中島課長とお見合いの話が持ち上がったのは、半年前だ。

中島課長の上司である人事部長と、私の上司である総務部長とが私達の間を取り持った。

事の発端は、人事部にいる中島課長が彼女と別れたとの話を聞きつけた人事部長の計らいだ。

元々、社内恋愛等にうるさくない会社なのだけれど、人事部は個人情報を取り扱う部署だから、普通だったらその様な恋愛沙汰には上司が口を挟む事はない。

でも、中島課長については話は別だったらしい。

中島課長は３４歳。
見た目も所謂イケメンの部類に入る。
身長も高く、程よく鍛えられているであろう体型は、スーツを着ていても一目瞭然。