結婚前夜
お互い食事が終わって、器を下げられた後も、お互い言葉を発する事はなかった。

…私は一体、何をしにここに来たのだろう。

結局、何も会話のないままカフェを出た。

さて、これからどうしよう。
これは一体何だったんだろう。
話もないし、もう帰ってもいいかな。

私は思い切って帰りたい意思を伝えようと口を開こうとした瞬間、中島課長の意外な言葉が聞こえた。

「結婚、しませんか？」


＊＊＊＊＊＊


私は何と返事したか覚えていない。

けれど、多分返事を口にする前に、頷いていたのだろう。
中島課長の照れた笑顔が目の前にあり、気が付けば、博物館の角の死角になる場所に連れて行かれてキスをしていた。

そして休日明けには、部長を通じて改めて結婚の申し込みを受けた。

私は結局、流される様に正式にお話をお受けしますと返事をして、今日に至る。

その後、職場ではかなり私達の話題で持ちきりになった。
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