結婚前夜
私はソファーから立ち上がり、目の前に立つ彼にそう声を掛けて改めて彼を見上げた。

やっぱり背が高く、イケメンさんだ。
目の保養になるから傍に立つよりも、ちょっと離れた場所で鑑賞用として見ていたい。

傍にいると、私は明らかに釣り合いが取れないと思ってしまう。

博物館にやって来た方も、若い女性はみんな中島課長を見ている。
そして、傍にいる私を見て、明らかに失笑している。

何でこんな子がこんなイケメンと一緒にいるの?
まるで私を嘲笑う様な好奇な目で見られているのは十分分かっている。

私は、自分に自信がないので視線を足元に落とした。

そんな私を、中島課長は無言でそっとエスコートする。

背中に左手を回されて、ロビーから展示室へと向かった。

私はそのまま視線を足元に落としたまま、中島課長のエスコートを受ける。

博物館の中の展示品を並んで一緒に見るものの、気持ちは沈んだままだった。
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