契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
人手不足でブラック気味の会社だから、その前にやっておくべき仕事がまだ山積み。
まぁ、新企画の担当者に抜擢してもらえたのはうれしいし、やるからには面白いものにしたいと、野望だけは大きく抱いているけど。
「……ちなみに、旦那様とは何か進展ありました?」
耳元でぼそっと聞かれると、思わず彰さんの顔を思い浮かべてしまい、恋愛モードになりかける。
進展……精神的な部分では、かなりあったよね。花ちゃんになら話してもいいけれど、あいにく今は仕事中だ。
「こ、今度ちゃんと話すよ」
「うわー、ということはあったんだ! 前はキスだけとか言ってたから、ついにその先の扉を開けたんですね! あのイケメン旦那様がどんなふうに結奈先輩を愛でるのか、今度詳しくお願いしますね!」
「いや、花ちゃん、それは誤解……」
訂正する間もなく、花ちゃんは軽やかに自分のデスクへ戻ってしまった。
……ま、いいか。とにかく今は目の前の仕事をしなきゃ。
そうしてパソコンに向き直り、集中すること数時間。記事の下書きが完成し、ふうっと息をついて、デスクワークで凝り固まった自分の肩を揉む。