契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~

「さっきも言ったけど、食事。付き合ってくれるならね?」

平川さんはそう言って小悪魔的な笑みを浮かべた。

やっぱりそういうことか……。全く乗り気ではないけれど、仕事が絡んでしまっては断るものも断れない。

「……わかりました」

私は渋々承諾し、花火大会の前日、金曜の夜に平川さんと食事をする約束をした。



今夜も彰さんの帰宅は遅いらしい。

【遅くなるから先に寝ていて】とスマホにメッセージがあり、私はひとり寂しく夕食と入浴を済ませ、早々とベッドに入った。

しかし体は疲れているはずなのに、どうにも目が冴えて眠れなかった。

たぶん、平川さんのことが心に引っかかっているせいだ。

彰さんを敵視している平川さんだから、妻である私のことも気に食わないはずなのに、どうして一緒に食事なんて。私を使って、彰さんの弱みを聞き出そうとしているとか?

なんにせよ、警戒するに越したことはない。彼の華やかな見た目の裏には、なんとなくドロドロした黒い感情が流れている気がするから……。



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