契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
そう思いながら何度目かの寝返りを打った時、玄関の方で物音がした。
彰さんが帰って来たんだ。寝室の前を通りリビングダイニングへ向かう彼の足音を聞いていると、顔が見たいという気持ちが募って、私はベッドを抜け出した。
静かにリビングのドアを開け部屋を覗くと、スーツのジャケットを脱いだ状態でソファに座る彼の広い背中が見える。
まだこちらには気づいておらず、驚かしちゃおうかなーなんていたずら心が湧く。
私は忍び足で彰さんの後ろ姿に近づき、すぐそばまで来た瞬間、後ろからがばっと抱き着いた。
「うわっ! ……結奈。起きていたのか」
びくっと肩を震わせ予想以上のリアクションで驚いた彰さんに、私はふふっと笑みをこぼした。
「お帰りなさい。なかなか眠れずにいたら彰さんが帰ってきた音がしたから、会いたくなって」
彼の首に腕を絡めながら、素直な気持ちを告げる。
すると、彼はこちらを振り向きながら大きな手で私の頭を引き寄せ、ちゅっと唇を重ねてきた。その後、彼の妖艶な低い声が囁く。