契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
自分のちょっとふくよかな体型を見下ろし、苦笑いする。そんな私に、道重社長はさっきまでの物憂げな様子を引っ込めて堂々と言う。
「俺が選んだ相手なら、文句は言わないだろうし俺が言わせない。いいじゃないか、肌は柔らかそうだし、まるで大福みたいで」
「だ、大福……!?」
商品として大福を扱っている会社の社長に〝まるで大福〟と形容されてしまうほど、私って太ってたっけ……!
思わず両手で自分の頬をはさむと、むにゅっとスクイーズのような心地いい感触がして、その柔らかさに愕然とする。
やばい……やっぱり、痩せなきゃ。内心そう決意する私の目の前に、スッと一枚の紙が置かれた。
ん? これは、まさか……。ある予感を抱いて視線を移動させたのは、紙の左上。
そこには思った通り、〝婚姻届〟の三文字が並んでいた。
「フリとはいえ、ちゃんと婚約者がいるという証明に、母に見せたいんだ。もちろんは提出はしないから、署名と印鑑をここにお願いしたい」
事務的な指示に、こくこく頷く。
「あ、はいっ。わかりました」