契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「もし、彰さんが過去に重大な過ちを犯していたとたら、私は妻としてその罪を一緒に償いたいと思っています。あなたに対しても、いつか彰さんを許してもらえるその日まで、真摯に向き合いたい」
だって、私と彰さんは運命共同体の夫婦になったんだもの。
はじまりは軽い気持ちの〝契約〟だったけれど、本物の夫婦になろうと約束したあの日を境に、私たちの絆はより強固なものに変わった。
「もしも一生許してもらえなくても……私は彰さんを見限ったりしない。罪を背負って、彼とともに生きます。だから……私があなたになびくことは、絶対にあり得ない」
ひと息に話した私は、最後に強い眼差しで平川さんを見据えた。
彼の方も、黙ったまま挑戦的な瞳をこちらに向ける。
無言でにらみ合う時間がしばらく続いたけれど、先に沈黙を破ったのは平川さんだった。
張りつめていた緊張感を緩めるようにふうっと息を吐き、苦笑しながら言う。
「……彰の奴、いい嫁もらったな」
穏やかな声と、私たちの結婚を祝福するかのようなセリフに、ほっと肩の力が抜ける。
私の強い意思が、少しでも彼の心に届いたんだろうか。そんな淡い期待を抱いた瞬間だった。