契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「それなら、二人の仲を邪魔しに行くまでだ」
案の定、平川さんはそんな悪意に満ちたセリフを吐き、私は対処に困ってしまった。
それって、平川さんも花火大会を訪れて、私と彰さんが一緒にいるところを引っ掻き回しに来るってことでしょ? 想像しただけで疲れる……。
彰さんに言って、花火大会に行くのを中止してもらう?
……ダメだ。今私がこうして平川さんに会っているのも、彼は知らないんだから。
それに、私自身が中止になんてしたくない。
ここ最近は、どんなに会社でこき使われようと、花火大会のデートを励みに頑張ってきたのだ。彰さんと一緒に、楽しい思い出を作りたくて。
その気持ちが無駄になるなんて、絶対に嫌。
私は鬱々した気分を吹っ切るように顔を上げ、きっぱり断言した。
「邪魔されても、私たちの仲は壊れませんから」
すると、平川さんは人を馬鹿にしたような挑発的な笑みを浮かべて言う。
「どうかなぁ。彰のことなんか信じない方がいいと思うけど。ま、俺はやりたいようにやらせてもらうよ」
「お好きにどうぞ! ……私、もう帰りますから!」