契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
彰さんは笑っているけれど、きっと呆れているに違いない。色気も女性らしさも足りないくせに、食い気だけはホントすごいなって。
彼だけは、そんな私でも丸ごと受け入れてくれる気がしていたのに……やっぱり前の彼氏と同じだったのかな。
彰さんだけは、違うと思っていたのに。
私がそんなことを思っているうちに、彰さんが寝室を出て行った。
最低限の呼吸で我慢していた私は、仰向けになってはぁっとため息をつく。目の端からシーツに向かって、次々涙が零れ落ちた。
「好き、なのに……私は、こんなに……っ」
寝室の暗闇に、私の頼りない叫びが吸い込まれるように消えていく。
「好きだよぉ、彰さん……」
受け取ってもらえないとわかっていて想いを吐き出すのは切なかったけれど、私は自分の心が落ち着くまで、何度も彼の名前を呼んでは告白を繰り返し。
そのままいつしか泣き疲れ、電池が切れたように眠ってしまった。