契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「こ、こないだも見たじゃないですか」
そんな自分を騙すようにパッと彼から目をそらしたら、彰さんは「そうだけど……」と話し出す。
「あの時は昼間だっただろ? 夜、花火に照らされた浴衣姿の結奈はもっと妖艶なんだろうなって期待してる」
よ、妖艶? この私が?
「……期待に応える自信が全くないのですが」
「大丈夫だよ。昼間見た時だって、首筋にキスしたい衝動を抑えるの大変だったくらい、色っぽかったから」
悪戯っぽい笑みでそう言われて、一気に顔に熱が集まっていく。
照れるな結奈! これが彰さんの本心とは限らないってば!
「じゃ、じゃあ、とりあえずこの見苦しいまぶた、なんとかしないとですね! キッチンで保冷剤探してきます」
早口で言って、逃げるように洗面所を出る。そうしてキッチンまでやってきたけど、ドキドキと激しい鼓動がなかなか止まらなかった。