契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
せっかく色っぽい格好をしてきたのに、ついつい屋台の食べ物に興味を惹かれてしまう。
「……お腹すきましたね」
「何か食べるか? 焼きそば、タコ焼き、かき氷……向こうに大判焼きもあるな」
「じゃ、大判焼きで!」
「だと思ったよ」
即答した私を、彰さんが思った通りだという風にくすくす笑った。
おそらく彼は、私が大判焼きを選んだ理由を単に和菓子を食べたいからだと思っているだろう。……でも、今回は少し違う。実は、確かめてみたいことがあるのだ。
私たちは少し先に見える大判焼きの屋台を目指して歩き、並んでいた数人の先客の列の最後尾についた。
それからひょこっと屋台を覗き、店頭に掲げてあるメニューをチェックする。
「こしあん、白あん、カスタード、チョコ……彰さん、どれにします?」
私の予想通りならば、彼が選ぶものは最初から二分の一に絞られている。
「俺は……カスタードかな」
……思っていた通りだ。
彰さんの選択を聞き、おぼろげだった推理が確信に近づいていくのを感じる。