契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「なんでって……俺、結奈と一緒にいたんだもん」
「ね?」と意味深な視線を送ってくる平川さんに、私は冷や汗が止まらなかった。
別にやましいことがあったわけじゃないけれど、彰さんには寝耳に水だろう。
しかも、それをこんな形で暴露されるなんて……幻滅されたかも。
何も言い訳できず黙ったままでいると、平川さんが私をかばうように言った。
「俺がしつこく誘っただけだから、結奈は悪くないよ。彼女を責めないでやって?」
「……どうやって連絡を取り合った?」
彰さんの低く震える声に、怒りがにじんでいるのがわかる。しかし平川さんは飄々とした様子で彰さんに言い返す。
「さあね。でもさぁ彰、お前だって人のこと言えないじゃん」
「なんのことだ」
「またまたとぼけちゃって。最近毬亜とコソコソ連絡とり合ってるの、俺は知ってるよ?」
平川さんはそう言って、彰さんに冷ややかな視線を送る。
彼の言葉が真実であることは私も身をもって知っていたので、やっぱりそうなんだと思うと胸が締め付けられるように痛くなった。