契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「……いいんだよ。これは、間違いなく結奈のものだ」
言い聞かせるように言葉を紡ぎ、再び指輪を薬指に通してくれた。
そのままゆっくり、自分の胸に私を抱き寄せる。
指輪を返してくれたのも、こうして抱きしめてくれるのもうれしい。
だけど……もっとちゃんとした言葉で、説明してほしいというのが本音だ。
平川さんのことも毬亜さんのことも……大判焼き屋さんの前で言おうとしたことも。
彼の口からはまだ何ひとつ説明されていない。
前は彼から話してくれるのを待つと言ったけれど、今はもう状況が変わった。
「お願いです、彰さん。教えてください。あなたが隠していることを全部」
そうでないと、私は安心できません。このままあなたを好きでい続けていいのか……。
彼の腕の中で少し顔を上げ、切実に懇願する。
けれど彰さんの瞳は戸惑うように揺れて、それから説明を拒むように、強引に唇を重ねてきた。
「……っ、や」
キスで、ごまかそうとしないで。そんな思いから一瞬身を引いたけれど、すぐに後頭部をつかまれて次のキスで唇をふさがれ、逃げられなくなってしまう。