契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「わー。芸能人でもないのに出るわ出るわ」
画面いっぱいに広がる、さまざまな彰さんの姿。服装は今日私が会ったときのような和装だったり、スーツ姿だったり……どれをとってもサマになっている姿に、ぽうっと見惚れてしまう。
そんな時、部屋の扉が外からノックされ、その向こうから母の声がした。
「結奈~? 入っていい?」
「あ、うん」
彰さんの画像から目を離さず、適当に返事をする。ガチャっとドアが開き、私の姿を見た母親は、あきれた様子でため息をついた。
「はあ……結奈、もうちょっと現実を見てよ」
「え?」
振り向いた私に、母はパソコン画面を顎で指しながら、苦々しく言う。
「そのイケメン、今人気の俳優さんか誰かでしょ? そんな手の届かない男性に憧れてぼうっとしてる暇があったら、現実を見て行動しないと!」
「いや、この人は俳優じゃなくて……」
のんびり否定する私に、母は無理やり、チラシのようなものをを押し付けた。