契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~

あーあ。唯一慕ってくれる後輩からも見放されたか。

そうだよね。今まで和菓子和菓子って食い気ばかりだったアラサーが、いきなり性欲とか言い出したら不気味だよね。

でも……本当に最近、つらいんだもの。好きな人と毎日一緒にいて、喧嘩もせず順調な毎日を送っているなかで、彰さんが全く私を求めてこないことが。

花火大会の日に少し強引だったのを後悔して、慎重になっているのかな。

それともただ、私を抱きたくないだけなのかな。後者だとしたら、切なすぎる……。

「あらら……ホントに死んでる。後輩ちゃんの言ったとおりだ」

ネガティブ思考に陥っていたら、頭上からそんな軽い口調が聞こえた。

パッと顔を上げると、花火の日以来久々に会う平川さんが今日もチャラい私服姿でデスクのそばに立っていた。

「なんでここに……?」

「ん? ああ、例の企画の件、スケジュール合わなくて延び延びになってたでしょ? さすがに申し訳ないと思ってたら今日たまたま時間空いたから、結奈がヒマなら一緒にランチがてらインタビュー受けようかなって」

「あ、ホントですか? 助かります!」



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