契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~

「ふーん。愛する妻にも言い出せないってことは、少しは罪の意識があるのか。でも、どうしようかな~」

傲慢な様子で足を組み、悩む素振りを見せる平川さん。

もう、あなたに教えてもらうしか方法がないの。私は、すがるような気持ちで頼み込む。

「お願いです。私、どうしても知りたいんです……。彰さんが、どうして餡子を食べられないのか……!」

あの、花火の日――。大判焼きの屋台で私が確信したのは、そのことだった。

彼が避けるお菓子には共通性があって、餡子や小豆の使われているもだけ、いっさい口をつけないのだ。

私の言葉を聞いた平川さんは、顔色を変えた。

「ちょっと待って結奈。なにそれ。彰が餡子を食べられない? あいつ、和菓子屋の社長だろ?」

矢継ぎ早に疑問を口にしながら、テーブルに身を乗り出すような形で私の方へ体を寄せる。

私はこくんと頷き、今までの彰さんの行動を思い返しながら話す。



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