契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~

過去には、深い信頼関係で結ばれていた二人だ。

一度はこじれてしまった仲だけれど、お互いの気持ちがわかれば、修復にきっと時間はかからないだろう。

平川さんとの確執は、これから徐々に薄れていくに違いない。

……これで、一つの問題は片付いた。あとは、彰さんがトラウマ克服への一歩を踏み出す、その手助けをするだけだ。でも、どうやって?

私は彰さんを見つめながら、その方法にあれこれ思いを巡らせる。

けれど、目の前で見本を見せてもダメだったのだ。簡単にはいかないだろう。

いつかプリンを食べさせてもらった時のように、〝あーん〟と食べさせてあげる?

……いや、待って。

それよりもっと手っ取り早く確実な方法があるんじゃない?

私はちらりと彰さんに目線を向け、美しく整った顔立ちの中の、知的な薄い唇を凝視する。

ちょっと強引だけれど、ずっと足踏みしていた彼の心を解き放つには、それくらい乱暴な方法がちょうどいいのかもしれない。



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