契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~

「その電話、実は私偶然聞いちゃって……。彰さんが彼女に〝会いたい〟とか、〝一緒に暮らしてたからお前のことはわかる〟って言ってたのが、なんだか男女の甘いやり取りに聞こえてしまったんですけど……」

斜め上方向をじっと見つめて考える仕草をした彰さんが、やがて納得したように頷いた。

「そういえば、電話であいつとそんな話をしたな。……でも、結奈が不安になるような意味じゃない。あの時、叶夢に連絡先を聞いた彼女から電話があって、単に懐かしかった んだ。俺が知ってる毬亜は、二、三歳ごろの姿だったから」

二、三歳……。完全に、子どもの頃の話だ。

ということは、一緒に暮らしてたというのも大人になってからの話ではなく……。

「叶夢から施設の話は聞いているだろ? 毬亜もそこで一緒だった。だからまぁ、兄妹みたいな信頼関係はあるが、それだけのつながりだよ。……どうだ、これでもう不安は払拭されたか?」

そっか……。単に、施設で〝一緒に暮らしていた〟だけだったんだ。

それで兄妹のような感覚から、毬亜さんは『いつも彰がお世話になっています』というセリフを私に……。



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