契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
7.「本物の夫婦になろう」
夏休み初日。彰さんが私を連れてきたのは、東京から車でおよそ一時間の場所にある、神奈川県の葉山町だった。
彼はここに別荘を持っているそうで、今日はそこに一泊する予定だ。
途中、多少の渋滞はあったものの、現地に着くと観光客の数はそれほど多くなく、海も山もある自然たっぷりな土地でのんびりした時間を過ごせそうだ。
昼頃に到着してカフェで軽いランチを取った後、私たちは海岸にやってきた。
すぐそばの駐車場で車を降りると、照りつける日差しに一瞬目がくらむ。けれど心地よい潮風が頬をなでていき、都会とは違う爽やかな夏の空気を肌で感じる。
ちなみに今日は服装もリゾートファッションでまとめ、つばの広い麦わら帽子に、白と基調にしたボタニカル柄のマキシ丈ワンピースを合わせている。
自宅でいちおう彰さんの意見も聞いたところ『もっと短いスカート穿けばいいのに』と言われ、とんでもないとお断りした。
暑いから自分でも本当はそうしたいけれど、彰さんと二人きりのデートで、細くもない脚をさらす勇気はなかった。
……彼を意識している証拠だろうか。