君にチョコはあげない
「後悔してるんなら、さっさと謝っちゃえばいいのに。話聞いた分には、全面的に幼なじみくんの方が悪いし、自分でもそう思ってるんでしょ?」
「…そう、だけど」
容赦なく傷を抉る奴だな、コイツは。
「…だけど?」
「避けられてんだよ」
「…ふぅん?」
ほとんど話したこともない松島にこんなにも話せるのは、夢叶の親友だから…ってだけじゃなくて、松島にはどこか、話しやすくさせる雰囲気とかもあるんじゃないかって思う。
夢叶も、コイツのそういうとこ知ってるから、余計に仲良くしてるのかな。
…アイツ、強がりだから。
「会いに行けばいいじゃん。家、隣なんでしょ」
「…それなんだよ」
「は?」
「入れてもらえねぇんだ、家に。なぜか、共働きのはずの夢叶の親が二人ともいるしさ」
「…ご両親、インフルエンザとかなんじゃないの?」
夢叶は、学校ではそんなに体調悪い感じはしなかったし、やっぱそうなのかな。
「…でも、明日は会いたい」
「あぁ、ホワイトデー、誕生日だもんね、夢叶の」
「…ん」