君にチョコはあげない
俺の誕生日はバレンタインで、夢叶の誕生日はホワイトデーだ。
「なんか、運命的な二人だよね、あんたら」
「…だったら、いいけどな」
本当にそう思いたい。
昨日、夢叶の誕生日プレゼントにって思って、可愛らしい小物とかが売ってる雑貨屋に行った。…男には入りづらかったけど。
そこで、「夢叶好きそうだな」って思う小物、山ほど見つけて、その中でも夢叶らしい文房具をいくつか買った。
会計したとき、店員の人に「彼女さんへのプレゼントですか?」ってニコニコしながら聞かれて、死ぬほど恥ずかしかったけど、「そうなったらいいな」ってすごく思った。
「…なんか買ったの?夢叶の誕生日プレゼント」
「…昨日、買ったけど」
「あー、イケメンくんが女の子いっぱいの雑貨屋さんに入る気恥ずかしさか~」
「…」
ほっとけ、そんなの。
そんなことよりずっと、夢叶のことの方が大事だ。
機嫌直さなきゃ…とか、そんなんじゃなくて、ただ夢叶をもう一度笑わせたいだけ。もう、あんな悲しい顔させたくないだけ。
夢叶が笑ってくれることを願って、ただそれだけで、あんな恥ずかしさなんか耐えられる。
…あわよくば、前みたいに戻って、今度こそ回りくどいことしないで「好きだ」って伝えたい。