君にチョコはあげない
そんなこと俺が思ってるなんて、きっと夢にも思わないんだろう、夢叶は。
「これで上手く仲直りできたら、デートでも誘えば?」
「…そうする」
そもそも、上手くいくかはわかんないけど。
上手くいくことを祈ってる。
・
・
…で、今。
3月14日。
今日も結局、夢叶とは話せなかった。
玄関先で断られても、今日は絶対に引かない。
夢叶に会えるまでは、帰らない。
そう意気込んで、夢叶の家のチャイムを押した。
「…はい」
「…っ!…夢叶…?」
「…そう、だけど」
出てきたのは、今日も俺のことを避けてた夢叶。
久々に聞いた声に嬉しくなって、「あぁ、好きだな」って思う。
「誕生日おめでとう」
「…ありがと」
「…この前はごめん。思ってもないこと言って。…プレゼント、買ったんだけど。直接渡したいから、来てくれる?」
「…わかった」
短く静かな返事だったけど、断られなかったことに少し安心した。
声色もぶっきらぼうだったけど、きっと夢叶の照れ隠しだと思う。
俺、今までプレゼントなんてあげたことなかったからな。