君にチョコはあげない
「…あけていい?」
「もちろん」
少し躊躇いがちに聞いてきた夢叶は、俺の返事を聞いた途端に、目をキラキラさせて、慎重に紙袋をあけていた。
…ほんと、可愛いやつ。
「…かわいい。これ、遥が選んだの?」
「そうだよ」
ったく、それ選ぶのにどれだけ恥ずかしかったことか。
…でも、夢叶がそんな風に笑ってくれるなら、いくらでも買ってきてやるよ。
「…私のために?」
「……そーだけど」
上目遣いで聞かれたら、「母さんの誕生日プレゼント選ぶついで」とか、「友達が彼女へのプレゼント選ぶのに付き合ったついで」とか、考えてた言い訳だって出なくなる。
「…ありがと、遥」
「おう」
…またこうして話せて、すごく嬉しい。
…けど、なんでそんなに涙目になってんだよ。
「あ…これ、は……嬉しくて。嬉し涙なんて、初めて出たよ」
「なに噓ついてんの」
そんな下手くそな噓は、誰だって見破れるに決まってんだろ。
ましてや、幼なじみの俺に対して、そんなの通用するわけない。