君にチョコはあげない
「…そっか。はっきり言ってくれてありがとう」
「私こそ、好きになってくれてありがとう」
「…幸せになりなよ」
「…それは……どうだろう」
私も遥も、スマホとか持ってなかったし。
私は遥の家の住所知ってるけど、手紙を送るつもりもないし、もちろん会いに行く気もない。
だから私は、ただ曖昧に苦笑いするだけだった。
「…そんなに仲いいわけではないの?ならやっぱり、俺にも付け入る隙ぐらいはあるかな」
「…っ、ううん、別に。多分、それなりに仲良しだよ…多分」
「ならいいけどさ。頑張れ」
「ありがとう」
…なんていい人なんだろうこの人は。
自分が告白してフラれてしまった相手(フッたのは私だけど)に、あんな言葉をかけられるなんて。
この人を好きになれたら、きっと楽だろうな。
そんなこと思っても…いや、思ってる時点で、遥は私の中から出ていかないんだ。
遥は意地悪だな…って、今もサッカーをしてるであろう遥に、少し恨めしい想いを馳せた。