君にチョコはあげない


落ち込んでいた私に向かって、遥はとんでもないことを言った。


す、好きな人と暮らすなんて、想像しただけでもドキドキしちゃうんですが。



「つーか、戻ってきてよ。寂しすぎて死にそうなんだけど」

「え、いや、その……受験、とかもあるし…」

「で?」

「え?」



…ちょっと待って。「で?」ってなに。



「それがどうしたの?」

「だから学校……」

「将来、なにかなりたいものでもあんの?」

「いや、ない…けど…」



…ないけどさ。
そういうことじゃないでしょ?

それに、何かなりたいものがあって高校行く人の方が少ないと思うけど。



「じゃあいいじゃん。俺の奥さんになるのに、学校に通うことなんか必要ない」

「…っ……」



明らかにおかしいことを言われてるのにドキッとしちゃうくらい私は、やっぱり面白いくらい遥のことが好きだ。

…けどさ、仮にそんなことしたとしても、きっと私は不安になるんだよ。遥、モテちゃうから。




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