◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

 お姫様ベッドなんかですやすや眠る尚貴が自然と想像できて、ちょっとおかしかった。
 メイドさんに紅茶を淹れてもらって起こされて、髪を梳《くしけず》られながら眠い目をこすり、着替えまで手伝ってもらう。そんなイメージ? なおさんの年はいくつなんだろう。自分より少し上か、少し下か、同じくらいだと思ったけど、その年月の内訳はあまりにも違うんだろうな。と、愛里は空想を膨らませる。

 もし年上だとしても、降りかかる禍の全てから、どうにか守ってあげたくなるような、か弱く無垢な女の子みたいな不思議な男の人なのには変わりなくて。

 あんな人、初めてだったな。
< 105 / 295 >

この作品をシェア

pagetop