◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「社長、私タイムカードは?」
「切らなくていい。だから、お願いだ、頑張ってくれよ、頼むから。頼むから、変なことには、なっちゃわないでくれ、後生だから!!」

 涙目で。

 う。
 プレッシャーがすごい。
(頑張るってどう頑張ればいいの!?)

 ともかくも、さりげないフリルの裾が可愛いお高めスーツをゲットした愛里は、社長の車でFUJITA電機株式会社へと向かっていた。

 社長は事情を理解してくれたようだが、それでもせめて自分も一緒に行かないと失礼になるとのことだったので、愛里は大人しく従った。小さな会社の社長とはいえ経験豊富な年長者がついているというのは、一人で行くよりはたしかに心強くもあった。
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