◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
走り去っていく車を見送り、いよいよ敵地へと乗り込む。
「行こうか、愛里ちゃん」
「は、はい社長」
作業着ではなくスーツという社長の見慣れない姿にどぎまぎしながら、社長の後に続く。守衛室でゲストカードを発行してもらい、首から下げていざ本社へ。
ここがFUJITA本社なのかと、見上げるほど立派な社屋の磨かれた自動ドアを通り、
「す、すみません! 有限会社丸井螺子という者ですが」
社長が右袖の受付窓口に顔を出す。
美しくメイクを施した受付のお姉さんは、きっちり決められた通りの表情と声色で出迎えてくれた。が、社長から事情を聴くと少々戸惑ったような顔に変化していっているのに愛里は気づいた。なんだか途端に自分が小さくみじめに感じてしまう。社長の自腹で精一杯のおしゃれなスーツを用意してもらったが、所詮は付け焼刃でしかなく、どこか変だったかもしれない。社長のふるまいも、愛里には何もおかしくは思えなかったが、大企業の中では通用しない何か常識外れのことをしているかもしれない。
「行こうか、愛里ちゃん」
「は、はい社長」
作業着ではなくスーツという社長の見慣れない姿にどぎまぎしながら、社長の後に続く。守衛室でゲストカードを発行してもらい、首から下げていざ本社へ。
ここがFUJITA本社なのかと、見上げるほど立派な社屋の磨かれた自動ドアを通り、
「す、すみません! 有限会社丸井螺子という者ですが」
社長が右袖の受付窓口に顔を出す。
美しくメイクを施した受付のお姉さんは、きっちり決められた通りの表情と声色で出迎えてくれた。が、社長から事情を聴くと少々戸惑ったような顔に変化していっているのに愛里は気づいた。なんだか途端に自分が小さくみじめに感じてしまう。社長の自腹で精一杯のおしゃれなスーツを用意してもらったが、所詮は付け焼刃でしかなく、どこか変だったかもしれない。社長のふるまいも、愛里には何もおかしくは思えなかったが、大企業の中では通用しない何か常識外れのことをしているかもしれない。