◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
丸井社長と共に大人しくラインナップ内から選び、エプロン女性が給仕を終えて退室すると、入れ替わるようにして見覚えのある男性が入ってきた。
「大変お待たせをいたしました」
愛里も社長も、弾かれたようにその場に起立した。
その声の主は、尚貴の付き人――郡山だった。きっちりワックスで左右に固められた黒髪に、皺のない黒いスーツは、夏コミの時とは打って変わり、まさしくこの場にふさわしい佇まいとしてよく馴染んでいる。