◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

「あ、でも、あんまり遠くには行かないで。何されるかわかんないからね。僕の半径百メートル以内にいて」

 尚貴の必死さに愛里は、ふふ、と笑ってしまった――が、よく考えたら笑いごとでもないかと思い直し真面目に頷いた。離れた途端に物理的に引き離されることはリアルに想像できる。

 机を挟んでいても存在感を放っている郡山が、
「尚貴様の担当されている案件は、社外秘です」
「う」
「それに、女を連れまわして仕事していては、示しがつきません」
 と、釘を刺してくる。女って、私のこと? どうでもいいところで、愛里はちょぴりどきっとする。
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